駐在妻の方の悩みには、様々なものがあります。
キラキラした海外生活、お友達と優雅にランチ、新しい趣味を始める…など、一般的には羨ましい存在に見える一方、実際に駐在妻として海外生活を経験してみないと分からないような苦悩も数多くあります。
「働きたくても働けない」
「自分の居場所がない」
「日本でのキャリアが中断してしまった」
「自分らしくいられない」
など、様々な悩みや壁にぶち当たり、鬱々としてしまう駐在妻の方も少なくないようです。
実際の悩みは、駐在妻の方一人一人に聞いてみないとわからない部分もあると思いますが、
今回は「働きたくても働けない駐在妻」の方にスポットを当ててみました。
女性の活躍推進が叫ばれるこのご時世、駐在妻は人材の宝庫。
それにもかかわらず、様々な理由で働くことができないなんて、やるせないとともに社会にとって大きな損失でもあります。
駐在妻が働けない理由
駐在妻の「働けない理由」は、大きく分けて以下の3つが主なものとして考えられます。
- ビザの問題(渡航先の国が配偶者の就労を認めない)
- 夫の会社が配偶者の就労を認めない
- 言葉の壁
①ビザの問題
まず第一に立ちはだかる壁は、「渡航先の国が帯同ビザでの配偶者の就労を認めているか」ということ。
つまり、「駐在員の配偶者」というステータスで駐在妻が働くことをその国が認めているのか、ということです。
ビザについては、自分ではどうしようもできないことではありますが、働く上ではまずはここをきちんとおさえておきたいところ。
ビザについて調べれば調べるほど、抜け道が見つかる場合もあります。
そこで今回は、日本人の海外赴任者数のランキングTOP10の国々について、駐在妻が配偶者ビザ(帯同ビザ)で働けるか否かを調べてリスト化してみました。
順位 | 日本人の海外赴任国 | 配偶者(帯同ビザ)の就労可否 |
---|---|---|
1位 | 中国 | 就業不可。別途「就労ビザ」が必要。 |
2位 | アメリカ | L2ビザ(帯同ビザ) +EAD(労働許可書)で就労可能。 |
3位 | タイ | 就業不可。別途「就労ビザ」が必要。 |
4位 | シンガポール | Dependant's Pass(帯同家族ビザ) +LETTER OF CONSENT(労働許可書)で就労可能。 |
5位 | マレーシア | 就業不可。別途「就労ビザ」が必要。 |
6位 | イギリス | Tier 2 ICT dependent(配偶者ビザ)で就業可能。 |
7位 | インドネシア | 就業不可。別途「就労ビザ」が必要。 |
8位 | ベトナム | 就業不可。別途「就労ビザ」が必要。 |
9位 | ドイツ | 要件を満たせば、就労可能。 |
10位 | 台湾 | 就業不可。別途「就労ビザ」が必要。 |
国によって、駐在妻の配偶者ビザでの就労可否は大きく異なります。
上記の10ヶ国の中で、駐在妻が配偶者ビザで仕事ができる国は以下の4つということが判明。
- アメリカ
- シンガポール
- イギリス
- ドイツ
*ドイツについては、様々な情報が混在しており、条件付きの場合もあるようです。
その他の「就業不可」の国で駐在妻が働きたい場合は、別途就労ビザを取得する必要があります。
(*ビザについては頻繁に制度が変更するので、最新の情報は該当国のビザ情報をチェック、または専門家に確認することをお勧めします。)
参照元:https://savvy-life-savvy-style.com/japanese-expat-ranking/
②夫の会社が配偶者の就労を認めない
たとえ渡航先の国が配偶者ビザでの就労を認めていたとしても、「夫の会社が妻の就労を認めていない」ということもありえます。
会社が同様のルールを課している理由として良く聞くのは、配偶者を含む家族の扶養手当を支払っている(ので、妻は働く必要がないだろう)ということ。
しかし、少なからぬ駐在妻の方にとって、経済的な理由というよりはむしろ社会と関わったり、自分の居場所を見つけたり、あるいは海外での経験を積んだりといった、ソーシャルな動機で働きたいというケースも多いのではないでしょうか。
そうであれば、夫の会社が妻の仕事を制限してしまうのはとても悲しい現実。
妻がイキイキと過ごせなければ、夫との関係にも亀裂が入りかねないですし、夫婦関係が悪化すると、駐在員である夫の仕事にも影響が出る可能性があります。
つまり、間接的、あるいは直接的に会社にとってもマイナスの影響が生じかねないということ。
「夫に迷惑をかけたくない」という駐在妻の方も多く、せっかく就労可能な国であっても、仕事を諦める方も多いと思います。
こればかりは会社の判断次第になってしまいますが、一度ダメ元で夫の会社に相談してみるのも一つの手段です。
会社側が駐在妻の就労ニーズがあることを認識することで、これまでのルールを見直すきっかけになるかもしれません。
③言葉の壁
これは駐在妻の方に限った話ではありませんが、海外で働く上では常に言葉の壁が立ちはだかります。
上記の問題をクリアしても、英語や現地語の壁によって現地での仕事探しに苦戦することも多くあります。
もちろん、英語などの現地語が堪能でなくても働ける場所(日系企業の現地法人など)はありますが、言葉ができればできるほど、仕事の範囲は広がるのが現実。
現地の生活に慣れるまで、仕事探しなんて到底無理!と思うこともあるかもしれませんが、まずは第一ステップとしてボランティアやインターンシップなど比較的始めやすい分野から取り組んでみるのも良いかもしれません。
特に北米ではコネクションや人的ネットワークを介して仕事を見つける人が多いので、ボランティアやインターンシップで得た人脈を通して、次の仕事を見つけるというパターンもありだと思います。
おわりに
今回の記事では、駐在妻の方が仕事を見つけられない理由を大きく3点にまとめてみましたが、この分野についてはこれからもリサーチを進めたいと思います。
専業主婦としての生活を強いられ、職業的なアイデンティティを失ってしまったり社会とのつながりを持てないことが、駐在妻の悩みの源泉になっているという点は、日本人に限らずどんな国籍、また居住国であっても共通の、いわば社会問題。
仕事であれ子育てであれ、あるいは趣味であれ、駐在妻の方々が理不尽な制約を受けることなく生き生きと海外生活を送るためのヒントを、これからも探っていきます。
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