アメリカのシカゴ在住で、自身が駐在妻ながら駐在妻向けのコーチングや各種サポート関連で起業をしたドイツ人、Kateさんのインタビュー第三回をお届けします。
第一回はこちら。
第二回はこちら。
英語の原文も掲載しています!
―Expatpreneurship※について、もう少し詳しく教えてください。
(※expat(駐在員や駐在妻)とentrepreneurship(起業家精神)をかけた造語)
駐在員や駐在妻の中には、海外滞在中に起業に至る人々がいます。
その他にも、趣味を極める中でそれがフリーランスとしての仕事につながる例もあります。
Expatpreneurshipは多くの場合、駐在員、駐在妻として赴任国と母国の文化や生活習慣などの違いを認識し、「何か自分が満たすことのできるニーズや市場はないか(筆者註;日本食が一般的ではない国で日本食レストランをオープンするなど)」と考えることから始まります。
起業には顧客や市場のニーズを理解することが必須であり、現地の人々と交流したり、現地の文化をより深く体験するためのきっかけにもなります。
―「働きたい駐在妻」の方の参考になるような、リモートワーク やデジタルノマド(一ヶ所に定住せず、旅などをしながら各地を転々としてリモートワーク などの働き方を実践する人)やトレンドを教えてください。
面白い質問ですね。
というのも、ちょうど今年の四月にタイのバンコクで行われる「Families in Global Transition Conference」でそれについて講演することになっているのです。
私の経験から言うと、駐在妻はデジタルノマドと呼ばれる人たちから、起業家精神や、場所に縛られないキャリアを築くことで自立や自由を手に入れる姿勢など、多くを学ぶことができます。
私は、働く環境がよりデジタルに、ひいてはリモート(テレワークなどの遠隔業務)になっていることを歓迎しています。
この分野は駐在員、駐在妻にとって大きなポテンシャルを秘めており、引き続きリサーチをしていきます。
―駐在員の派遣元企業が、その配偶者である駐在妻の海外就労を制限する、禁止するといった例(日本では少なからぬ企業が同様の規定を持っている)を聞いたことがありますか?
日系企業以外の例を聞いたことはありませんでしたが、いわゆる大企業と呼ばれる企業ほど、駐在妻が家族のケアや家事全般を一手に担い、駐在員である夫は仕事に集中しきるような環境づくりを期待している例を多く見てきました。
残念ながら、「駐在」を取り巻く環境は、時にタイムカプセルのように旧来的な慣習やルール(男性は仕事、女性は家事・・・など)を伴うことがあります。
通常、駐在員を派遣する企業は、駐在妻の就労許可取得については支援をしません。
一方で、駐在妻が現地での生活に馴染めなかったり、心身の健康を害してしまうことが、駐在員の早期帰任事由の筆頭に挙がっているのです。
駐在員がその任期を満たさず本国に帰任することは非常にコストがかかるため、より多くの企業がその配偶者である駐在妻のサポートに乗り出しているのも事実で、中には就労許可やVISA取得の支援を含む例もあります。
―Kateさんの現時点でのキャリア上のゴール、目標は何ですか?
駐在妻であるクライアントを支援することに加えて、駐在員を世界中に派遣するようなグローバル企業に対して、私の経験や知識を共有することに、よりフォーカスしていきたいと考えています。
そういった企業の人事部と話をして、駐在妻のニーズや困難を共有する機会が、最近ますます増えています。
駐在員、駐在妻の実態に関してより深く、現実に即した情報を手にすることになれば、その企業はより駐在妻のサポートに積極的になると信じています。
駐在員やその家族向けの人事制度は、海外生活や駐在を未経験の人たちの手で作られていることが多いのが実態です。
もちろんルールの多くは善かれと思って作られてはいますが、企業が想定する駐在や駐在生活と、駐在員、駐在妻が実際に経験することとの間には、大きな隔たりがあるのも事実なのです。
インタビューは第四回に続きます!
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