駐妻起業家Kateに聞く駐在妻のキャリアと人生-2

アメリカのシカゴ在住で、自身が駐在妻ながら駐在妻向けのコーチングや各種サポート関連で起業をしたドイツ人、Kateさんのインタビュー第二回をお届けします。

第一回はこちら

 

 

―母国ドイツでのキャリアを中断して、駐在妻としてシカゴに来ることに葛藤はありましたか?

仕事を辞めるのは難しい決断でしたが、当時は労働許可が得られ次第前職と同じキャリアをアメリカで続ける予定だったので、それほど不安はありませんでした。

振り返ってみると、(のちに大きく変わるとはいえ)具体的なキャリアプランを持っていることは駐在妻として海外に移ることを後押ししてくれましたし、結果的にはそのプランを実現しなかったことで、多くの学びを得ることもできました。

 

―あなたのウェブサイト、www.sharethelove.blogについてもう少し詳しくお聞かせください。

このウェブサイトの目的は、駐在妻の方々が海外で充実した職業的アイデンティティやキャリアプランを見つけるきっかけを与えることにあります。

私自身シカゴに移る際に色々な葛藤がありましたが、その時には道しるべとなるようなものがありませんでした。

シカゴに移った最初の数ヶ月に、自分自身手探りで学んだ色々なことを、このサイトには多く盛り込んでいます。

便利な情報や統計、ロールモデルによる具体的な体験談、キャリアアドバイスやコーチングなど多くのコンテンツを掲載していますが、それは全て駐在妻が海外で幸せになるためのものなのです。

 

―駐在妻を支援する事業を始めたきっかけは何ですか?

世界中の駐在妻のうち、たった20%しか海外で就労の機会を得ていない、という研究結果を目にしたことがきっかけです。

ドイツでは職場における男女平等が盛んに議論されている一方で、この20%という低い数字には大きなショックを受けました。

もう一つのきっかけとしては、駐在妻としてシカゴに移ってから新しく会う人に自己紹介をする際、自分ではなく夫の職業を説明する必要があることで、自分自身が彼の影のような存在に感じられたことです。

それらが重なり、女性や駐在妻の支援に関心が向かいました。

 

―駐在妻であるクライアント、顧客にどのようなサービスを提供しているのですか?

顧客ごとにカスタマイズされたコーチングを、駐在妻として赴任直前、あるいは赴任後の女性に提供しています。

多くの場合、電話やスカイプなどのテレビ電話でコーチングを実施します。

キャリアアドバイスや海外文化への適応、パートナーや家族、友人との関係維持・構築などの項目をカバーしていますが、顧客の多くは人生における新しい情熱、目的を見つけることに多くの時間を割きます。

駐在妻として海外に移り住むことで、人生のゴールや価値観を問い直す必要に迫られる皆様に、コーチングによって道しるべを提供しているのです。

その他にも、海外での職業アイデンティティを見つけるためのキャリア・ガイドブックをオンラインで提供しています。

 

―あなたの事業のビジョンは何ですか?

世界中の女性を支援してその社会的地位を向上するとともに、駐在妻として海外生活をすることの素晴らしさを認識してもらうことです。

一旦今までのキャリアや仕事、生活から離れ、自分自身や家族にフォーカスできることは、長い人生でも貴重な経験のはずです。

その経験を、困難ではなく良い機会として捉えられるようなサポートをしているのです。

海外で孤独を感じたり、職を失って社会からの疎外感を感じたりしていると、上記のような“良い機会”を得ることが難しくなってしまいます。

困難な状況にある駐在妻の方に自信を取り戻し、幸せな海外生活を送ることの喜びを認識してもらうことが、私の事業の目的です。

 

―今の仕事の何が一番気に入っていますか?

ニュースを見ていると、グローバル化に逆行するような流れを感じることがあるかと思います。

しかし、世界中の私の顧客との会話を通して、私たちは国籍や人種を問わず想像以上に多くの共通点があることに気づかされます。

韓国やトルコ、アメリカなど、それぞれ文化的な背景が大きく異なる国出身のクライアントがいますが、その多くが同じような問題や不安、希望を共有しているのです。

 

―顧客である駐在妻の間で、共通する問題は何ですか?

相談内容で最も多いのは、海外で新しいアイデンティティを見つけることに関して、です。

駐在妻として海外に移ることは、家族や趣味、キャリアや交友関係、習慣などの多くを母国に置いてくることを意味します。

海外での生活にも慣れてくると、多くの駐在妻の方々は日々の中で充実感を得ることが難しいと感じるようになります。

彼女達は、自分自身の人生におけるゴールや価値観、優先順位をあらためて考える必要に迫られるのです。

コーチングの結果、キャリアチェンジを選択する顧客も少なくありません。

 

 

インタビューは第三回に続きます!

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