“駐在妻の悩みには、コーチングが効く。”でお約束した通り、アメリカのシカゴ在住で、自身が駐在妻ながら駐在妻向けのコーチングや各種サポート関連で起業をしたKateのインタビューを、数回にわたってお届けします。
ドイツ人である彼女は、パートナーのシカゴ駐在を機にドイツでのキャリアを中断した後、上記の通り起業し、現在世界各地の駐在妻をサポートしています
今回のインタビューでは、彼女自身のバックグラウンドから起業に至った経緯、世界各地の駐妻の方へのアドバイスなど、非常に有意義な情報を数多くシェアしてくれました。
彼女のウェブサイト“SHARE THE LOVE”にも役立つノウハウが豊富に揃っているので、是非ご覧ください(英語のみ)。
―まずはじめに、簡単に自己紹介をお願いします。
私は二年前に母国のドイツからシカゴに来ました。
昔から海外志向が強くて、アメリカは5カ国目の居住国になります。
旅行や新しい文化・人々の生き方を知ること、写真を撮ることなどが大好きです。
ドイツでは、ビジネス・コンサルタントやマーケティング・マネージャーとして働いていました。
元々は同じようなキャリアをアメリカでも継続しようと思っていましたが、私の興味・関心は駐在妻(Kate本人は駐在”夫”の存在も考慮して、性差のないExpat Partnerという言葉を使っていますが、便宜上日本語では駐在妻と訳します)を支援することにすぐに移ることになりました。
私自身、駐在員である夫の都合で一時的にアメリカに住んでいる、いわゆる典型的な駐在妻の一人です。
海外に住み、働くという冒険がとても面白く、その過程で様々な学びを得たことが、私と同じような駐在妻を励ましサポートするためのsharethelove.blog というウェブサイトの立ち上げにつながりました。
―どうしてシカゴに?
夫が会社から駐在員として派遣されることになったのがきっかけです。
私たち夫婦は二人とも海外生活に興味があり、シカゴへ行くことには何のためらいもありませんでした。
赴任地は会社が決めることなので、私たちに選択の余地はありませんでしたが、打診があった後すぐに行くことを決めました。
元々は二年間の駐在の予定でしたが、その期間が延長され、この美しい都市・シカゴでの生活も三年目に入っています。
―今までどんな国に住んできましたか?それぞれの違いは?
アメリカ以外には、スペイン、UK、そして台湾に住んだことがあります。
どの国もとてもユニークで、人生の異なるフェーズでそれぞれ素晴らしい国に住むことができたと思っています。
個人的にはアジアの文化が大好きで、私自身が明らかに“外国人”であるような状況にも関わらず、バスに乗ったりする度にあたたかく歓迎されているような気分になりました。
今までに触れた色々な文化から、それぞれいくつかの習慣を自分のものにすることができたと思います。
美味しいウイスキーを飲みながら交わした、美しい旋律のようなスコットランドの会話に想いを馳せたり、スペインのタパスが今でも大好きだったり、名刺を受け取る際は敬意を見せるために両手を使ったり・・・。
ドイツは母国ではありますが、5番目の国として“今まで住んだことのある国”に加えたく思います。
海外に住むことで様々な視座が得られ、自分の出身国の文化を相対化して認識することができます。
―今まで住んだ場所に比べて、アメリカやシカゴのどんなところが気に入っていますか?
道を歩いていたり、買い物をするときに、人々が笑顔を向けてくれるところがとても好きです。
シカゴに移った当初は“Hi, how are you? Great, how are you?”のようなアメリカ人のスモールトーク(雑談、世間話)が苦手でしたが、ちょっとしたお世辞や質問で相手を元気付けようとするのはとても良いことだと思うにつれ、その文化を楽しめるようになりました。
おかげで、ドイツに一時帰国した際にも店員に「調子はどう?」など言葉をかける癖がついてしまい、聞かれた店員が困惑した顔を浮かべる度に、自分の変化に笑ってしまいます。
―シカゴでの週末や休暇の過ごし方は?
カメラを手に近所を散策したり、コーヒーを飲みながら人が行き交うのを眺めたり、アートギャラリーを巡ったりするのがお気に入りです。
素晴らしい食事と、時間的な制約・プレッシャーが無いことと、インスピレーションが湧くようなアート、この三つが揃っているのが、私にとっての最高の週末です。
シカゴでは毎週末色々なイベントが行われていて、飽きることがありません。
―駐在妻として経験した、最大の問題は何ですか?
一番のチャレンジは、休暇などで母国であるドイツに帰ることかもしれません。
家族や親友が海外に住んだことがなかったり、その素晴らしさを理解していなかったりする場合、彼ら・彼女らとつながっていることが時に難しくなってしまいます。
―元々はシカゴで何をする予定でしたか?
赴任前は、前職と同じようなキャリアを継続する予定でした。
採用に前向きないくつかの企業との面接をすでに調整していたため、マネジメントやマーケティングなど前職で経験した分野で就労の機会があるものと信じていました。
しかし、シカゴに来た直後に重要な学びを得ることになります。
それは、海外生活、駐在妻生活は計画通りには決して進まない、ということ。
どれだけ準備をしても、自分の想像を超えるような現実が降りかかってきます。
私の場合は、政権交代による就労許可の認可遅れや、価値観が変わるような一人旅、そして世界中の駐在妻のうち、たった20%しか就労の機会を得られていないという事実を知ったことなどが、大きな変化のきっかけとなりました。
特に最後の点、私と同じような駐在妻の葛藤が、私を引きつけました。
もっと詳しく実態を把握し、”20%”という数字を改善する方法を考えるために、シカゴ近郊にとどまらず世界中の駐在妻に話を聞きました。
その結果、認定コーチの資格を得るためのオンラインコースに入学したり、自分のウェブサイトを立ち上げることになったのです。
人生、何が起こるかわかりません。
―シカゴで駐在妻としての生活を始める前に、知っておきたかったことは何かありますか?
私は全ての人がそれぞれ身を以て教訓を得ることが重要だと信じており、各個人が何か“苦い経験”をすること無しには、コーチングをすることは難しいと思っています。
もうすぐ“駐在妻”になる赴任前のクライアントに、全ての情報を提供してしまうことは、そのクライアントが自分自身で学び、成長するための機会を奪ってしまうことになりかねないと思うこともあります。
それでも、一つだけ私自身がここに来る前に知っていたかったのは、「海外に移住すること、駐在妻として異国で暮らすことは、人生のあらゆる側面に変化をもたらす」ということ。
大きな変化は、働き方やキャリア、外国語や食文化などにとどまりません。
海外生活は、あなたとパートナーとの関係性や、世界観、交友関係、価値観、コミュニケーションスキルや忍耐力など、さまざまな点に変化や成長をもたらしてくれるのです。
だからこそ、心をオープンにして、変化に圧倒されるのではなく変化を受け入れるような心構えで、海外での駐在妻生活を始めることをおすすめします。
友人が恋しかったり、自分のキャリアゴールに疑問を持ったりすることもあるかと思いますが、先入観にとらわれず広い心を持つことが、あなた自身の成長につながります。
インタビューは第二回に続きます!
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